「あ…あたしのこと騙したでしょ!!」


そう大声を出すとビクッと肩を震わせ、こっちを見る白石くん。


「…ごめん…なさい…?」

白石くんは鬼でもみてしまったかのように怯えた表情をして言った。


…なにに謝ってんだろう、白石くんは。


「南野さんを…騙した覚えはないけど……その…。」


もじもじしながら小さな声で言う白石くんを見てようやく気付くあたし。


「あ、あたしに謝ってんのか。」


そう呟くと激しく縦に首をふる白石くん。


彼女にそんな怯えなくても…。
てか、彼氏に怯えられるあたしって一体…。


「あーあ、南野。
お前が変なこと言うから白石ビビったんじゃん。」


渡部くんが余計なこと言うもんだから、白石くんはさらに怯えた様子。


「彼氏にビビられちゃって、お前も可哀相にな。」


渡部くんは馴々しくあたしの肩を抱き寄せてきたもんだから、あたしは…


ついに堪忍袋の緒がキレてしまった。


白石くんの死角である渡部くんの横腹を肘で一発。


「うぉおぉ…」


渡部くんが謎のうめき声をあげたのは、


当たり前だよね。

もはや。