「あ…ごめん…なさい。」


白石くんは消え入るような声で言った。


この間から思ってたけど…

白石くんて、もしかして今流行ってる草食系男子ってやつ?


「おい、南野!!
行くぞっ!!」


そう言って強引にあたしの手首を引っ張る渡部くん。


…渡部くんはどう考えても肉食男子…。

って、渡部くんはどうでもいいんだよ。
うん。


そんなことより…


「行くって…どこに?」


…てか、
なんで第三者のあんたが行く場所決めてるんですか。


「………映画。
映画に決まってんだろーが!!」


渡部くんの大声がもろに耳に突き刺さり、ジーンとする。


「…うるさ…」


「なんか言ったか?」


ギロリと睨む渡部くんの視線がまた…


「こわーい(棒読み)」


デートするぞ発言してからの渡部くんは怖い通り超してどうでもよくなっていた。


だってあたし空手1段だし。
渡部くん怖がってみただけだし。


「………南野。
大人しくしてないと、白石にお前の秘密言うぞ。」


ボソッと突然渡部くんが言った一言にあたしは思いっきり顔をあげる。
ついでに言うと寒気もした。


「な…なんであたしの空手事を知ってるのよ!?」


あたしは渡部くんに聞く。
もちろん小声で。


「…へぇ。
空手やってんだ。」


渡部くんが納得したように呟いた。


………え?
あれ?


「知ってたわけじゃないの?」


「…知らねぇよ。
ま、今秘密知ったけど。」


そう言ってニヤリと笑う渡部くん。


…なんか、嫌な予感……。

てか、あたし、はめられた!?