この時のイケメン君は。


「や…大和撫子……。」


俺の隣りでボソッと呟いていた。


あー、この、大声で叫んだのが、大和撫子ね。

っておい。
いきなり大声出す奴が大和撫子か!?

お前の大和撫子像おかしくないか!?


「えーと…拓斗?」


「なんだい那央君!!」


拓斗は小声のまま俺のほうを向いた。

なに…このキャラ。
絡みずらっ!!


「えと…あの子が…大和撫子なんすか?」


「ごもっとも!!
ほーら、他の女の子よりも格段に美しいだろう!!
それに上品だ!!」


うんうんと自分で言っといてうなずく拓斗。


確かに中々可愛いけどね?

上品かどうかはわかんなくね?

ってか恐らく上品じゃないよね?


「…拓斗さん。」


「なんだね那央君。」


「大声で叫ばれたから、みんなの視線が痛いんですけど。」


「ごもっともだな。」


「なので、あの子になんか言ってください。」


すると拓斗は、


「え……えぇえ!!
そ……そんなの無理に決まっているだろう!!」


そう言ってあたふたする拓斗。


もちろん小声なので周りには俺らの会話は聞こえない。


よって、彼のチキンっぷりはまだ知られてない。