「ばばぁーっ!!
チケットの次は鶏なのかぁぁぁあ!!」


大声で叫ぶと、チキンばばぁは楽しそうに笑っていた。


てか、周りの視線が痛いのは何故?
あたしが口悪すぎるから?


「…ライオン女、あんたはなーんもわかってへんなぁ。

あんたがいけなかったんや、本物のチキンにでもなってろ、なんて言ったんやから。

元に戻したかったら、あのチキンっぷりを直すんや。

チキンを救えるんは、あんただけや。」


と言って、手をひらひら振ってまた人込みに紛れるチキンばばぁ。


い…いやいやちょっと待って。
なんかいい感じなこと言ってるけど、あんたが元に戻せばいい話じゃんか。


と思っても後の祭り。

唯一の頼みの綱だったチキンばばぁが見えなくなった。


………どうしよう。



あたしはトボトボと皆の所に戻った。


「…このチキンな性格直せば、治るみたいな事言われたよ。」


そう言うと渡部くんは、へぇーと上の空な返事をする。


「…チキン彼氏を救出せよ、ってとこか。」


「………まぁ、そんな感じ。」


南野莉子、15歳。

彼氏?
いますけど?
今時流行のチキンな草食系。

てか、リアルチキン。



チキン彼氏。





って違うだろ。