「あ……ま、まさか…」


拓斗がビクビクしながら呟く。


「み…南野さんを…好きになっちゃったのか!?」


「ちげーよ!!」


大体予想はしてたけどさ、察しろよ!!


「なんだ…
違うならいいんだよ那央君。」


そう言ってしみじみとした顔をしながら俺の肩をポンと軽く叩く。


…また、このキャラか。

まだやるのかコイツ。

つーか、さっきまで女子にまともに声すらかけられなかったよーなチキン野郎のくせに、

なんでこんなに偉そうなんだ!?


「てめぇ……。」


俺は拓斗の手を振り払い、思いっきり睨む。


「どうしたのかな那央君?」


人が睨んでるのに、ほんわかと話し掛ける拓斗。

な…なんだこいつ。

恋愛どころか…すべてに置いて鈍ってないか?


「那央?」


少し困ったように首を傾げる拓斗。

「拓斗…お前…大丈夫か?」

いろんな意味で。


「あー、南野さんのこと?
いやー、やっぱ那央がいないほうがなんとかなるかもな!!」


は…?


「俺、こう見えて肉食系じゃん?」

……
どこをどう見たら肉食になるんだお前は?

見た目は肉食だが、中身は草食だろ!!

言うならこう見えて草食系だろ!!


「お前…正気か?」


俺は呆れすぎて怒りなんてすっ飛んでしまった。


「?うん。」


………幼馴染みだけど、このチキンっぷりが無自覚だという事実を今日初めて知りました。


そして、
色んな意味でこいつは
大丈夫じゃありませんでした。