「それにしても、あの曲って、一体どんな曲だったんたろうな♪」


「そうね…どうせなら、一度あの譜面の曲を再現してもらいたかったわね♪」


シチローとてぃーだが、そんな事をぽつりと呟いた。


言い伝えでは、その曲はジョン・レノンの数々のヒット曲と比較しても全く引けをとらない傑作であったと、当のレノン自身が豪語していたのだと言う。


そんなに素晴らしい曲であるならば、是非ともその曲を実際に耳にしておきたいものだとシチロー達は思った。




そんな時だった。












「よし!作戦変更!
…実は日本にあったのは、楽譜ではなく『録音テープだった』という事にしよう!」


さっきまで頭を抱えてうずくまっていたドボンが、突然立ち上がってそんな事を叫んだ。



「ウチの組織に、レノンのモノマネ上手い奴がいたろ?すぐ連れて来い!…お前は楽器と録音機材の手配!お前はこのノートをもっと読み易く書き直すんだ!」


ドボンの号令に従って、周りにいたスーツ姿の部下達は慌ただしく散って行く。



その様子を見ていたシチロー達は、そんなドボンの変わり身の速さに、ただ、ただ感心するばかりだった。


「スパイの常套手段、得意の『隠蔽工作』だな……」


「まったく、立ち直りの早い奴だ…………」