てぃーだは、趣味で詩を書いていた。


その才能は、かなりのもので、定期的に更新するてぃーだのブログに載せる詩には、熱烈なファンの絶賛するコメントが数多く寄せられる程である。


「どころで、その涼風さんっていうのは誰なの?」


シチローにその質問をされると、てぃーだは憧れを滲ませた表情でその人物について語り出した。


「涼風さんというのは、アタシの詩の先生♪
…っていうか、アタシが勝手にそう思っているだけなんだけどね♪」


「へぇ~♪ティダがそんな事を言う位だから、その涼風さんって人の詩は、よっぽどスゴイ詩なんだろうな♪」


感心した顔でシチローが言うと、てぃーだはまるで自分が褒められているかの様に嬉しそうな顔で頷いた。


「そうよ♪涼風さんは、詩集も何冊か出しているプロの詩人でね。本業はベンチャー企業の社長さんなんだけど、『私は、旨い食い物と極上のワイン、そして好きな詩があればそれだけで最高に幸せなんだよ』なんて言って、全然成金めいたところが無い素敵な人なの♪」


涼風の事をそんな風に紹介した後に、てぃーだは自分の書いた詩の入ったバッグを持つと玄関先で靴を履き、シチロー達に「じゃあ、行ってくるわね」と挨拶をして、いそいそと事務所の外へ出ていった。