チャリパイ13~ジョン・レノンの幻の楽譜~




「ジョン・レノンの幻の楽譜はどこにあるのよ!」


子豚が話の核心に触れると、ドボンは目を丸くして驚いていた。


「何でその事を!
……それは国家機密だ。ワタシが日本の探偵なんかにその機密事項を教える訳が無いだろう。たとえ拷問されたとしてもな!」


ドボンは仮にもMI6のエージェントである。その位の事は心得ているのが常識であろう。


しかし、涼風が口にした次の言葉に、MI6の常識も脆く崩れ去った。


「なるほど、そうきたか……では、この身分証は各国の諜報部にインターネットで……」


「わあぁ!そんな事したらクビになってしまう!」


「じゃあ取引ね♪」


何しろ、顔や名前はもちろんその他の様々な個人情報を敵国の諜報部に流されてしまっては、諜報部員の商売上がったりである。



そもそも、そんな大事な物を道端に落とす事自体がとんでもない事なのだが…


ドボンは、渋々取引に応じ、苦々しい表情で重い口を開いた。



「仕方ない…知っている事を話そう…

話は今から40年以上遡った1960年代の事だ…」