「涼風さ~~ん♪
このワイン、もう無いの?」


「ん……?」


ふいに、ひろきから声をかけられ、視線をそっちの方へと移した涼風は、そのありえない光景に開けた口が塞がらなかった。


「そ!そのワインは、私が苦労して手に入れた『ロートシルト』の45年!」


涼風のワインコレクションの中でも、特に貴重なそのワインを、こともあろうにひろきはスポーツドリンクのようにグラスにも注がずにラッパ飲みをしていた。



「ワインおかわりぃ~♪」


「わああああああ~~っ!お前らバカかあああぁぁぁ~~~っ!」


「これ、おいしいね♪
涼風さん♪」


「やかましいっ!この女!そこへなおれ!たたっ斬ってくれる!」



キレまくる涼風の傍で、自分の詩を手にしていたてぃーだだったが、こうなってしまってはもう詩のアドバイスをしてもらうといった状況ではない。


「なんか、こうなる気がしていたのよね……アタシも……」