「ジョン・レノンという人は、楽曲の才能は勿論の事だが、その楽曲に付ける詞の才能も実に素晴らしい。君達の言うその『幻の楽譜』とやらにも詞が付けられているのなら、是非とも見てみたいものだ」


ワイングラスをゆっくりと揺らしながら、涼風はそんな事を言った。


「だったら涼風さん♪
オイラ達と一緒にその楽譜を探しましょう♪」


シチローは、半ば冗談で言ったつもりだった。


……のだが……



「そうかぁ~シチロー君がそこまで言うのなら仕方が無い!私も忙しい身だが、君達の為に一肌脱いでやるとするか♪」


涼風は本気であった。


『幻の楽譜』というミステリアスな言葉の魔力に、気分は映画『インディ・ジョーンズ』のジョーンズ教授といったところか。


ロマンに満ち溢れた顔で、手に持ったワイングラスを高々と挙げて、それをうっとりと眺める。













その傍らで行われているひろき達の暴挙にも気付かずに……