あたしの居場所

「鼓膜が炎症を起こしています。」
「10日間入院してください。」

また入院だって、ママごめんね?
お金ばかりかかっちゃって。

「希唯、ママお洋服とか取りに行くからしばらく一人で待っててね?」

ママはなぜかいつもより優しい。


そっか、可愛いそうだから?
同情してるの?
逆に、怒ってるのかもしれない。
だって今は0歳の赤ちゃんいるもんね。

ぼーっとしながら考えてたら隣の人が声をかけてきた。

「何年生?」

そのひとはやさしそうな女の人だった。

「2年生!!」
「そっかー。病気なの?」
「ちがうよ。耳がいたいの」
「お耳?聞こえなくならないといいね!」

ひとりぼっちになったあたしの話相手になってくれた。
すごく楽しくていっぱい話した。

「あ、ママかえってきた」

バックや紙袋などいっぱい抱えたママが病室のドアを開けにくそうにしながらはいって来た。あたしは点滴をしてたから自分で動けなかった。つながっている棒みたいなのがすごく邪魔で…。

「希唯、いい子にしてた?」
「うん。」

ママがちらっとお姉さんの方をみた。
だからあたしは言ったの。

「希唯ね、おねーさんと話してたの。」

ママはペコペコ頭を下げて

「娘がお世話になります」

って言ってた。


大人って大変だな