「じん…」
愛しい人の名前を呼ぶ。
戻って来てほしいよ。
早く俺を抱きしめて。
遠くから足音がする。
もう夜中なのに。
足音が止んだ。
「ハァ、ハァ…紅葉」
そう言って抱きしめられた。
「な、なん…ンッ」
最後は声にならなかった。
仁がキスをしたから。
「紅葉がいなくなったって、風真から聞いたんだ。んで俺、すごく焦って…よかった見つかって…」
仁が喋るけど、俺は全然頭に入ってこなかった。
俺は今確実に、仁に怒りを感じてる。
そしてまた、キスを仕掛ける仁を平手で殴った。
―パシンッッ
渇いた音がする。
仁は驚いて微動だにしなかったけど、俺は怒りをそのままぶつけた。
そんなことしたら、本当に別れるかもしんないのに…
「うっせ―!!なんでいんだよ!?仁は、アイツんとこに行けよ!!」


