プルルルルー
ハッとガラクタに埋もれた携帯を見た。
手は上にあげたまま、プルプル震えている。
誰だ邪魔する奴は。
俺の決意を揺るがす奴はどこのどいつだ?
俺はギターをおろして、不機嫌に電話に出た。
「はい?誰?」
「航!まだギター壊してない?!」
「は?まだだけど…って何でお前」
「よかった~、ダメよ?そのまま!動かないで」
何だ?
俺は携帯を耳にあてたまま、窓の外を見てみる。
アパートのすぐ隣の一軒家の、二階の窓から葵が顔を出してから、ちょっと待っててとジェスチャーして、バタバタと奥へ消えた。
それから二十秒経つか経たないかくらいで葵がドアを叩いた。