だけど俺は、結構惚れてたんだけど。いや、かなり。そして今もちょっぴり、淡い期待を抱いたりしてるんだけど。
どうも葵のことを見てると、俺に男を感じていなそうな様子だ。
「少しは気使ったりとかしねぇのかよ」
「何で?昔の女は、一番の親友になるって、どっかで聞いた事あるよ?」
「あー、そうかよ」
「だから、私のことはどうでもいいから、早く曲を書いて。ね」
俺はため息をついた。
はい、スルー。
葵だって、可愛い妹のために必死なのは分かる。でも、俺にだって俺なりの言い分ってもんがある。
俺だって、大切なギターを叩き割ろうとするくらいの決意を固めてたんだ。
俺は葵を俺の方にちゃんと向き合わせた。葵は目をぱちくりさせる。そして俺は、ふうと一息つく。
「葵、ごめん。俺やっぱり無理だよ」
「何で」
「俺に、もう歌なんか歌えないよ」
お前が思ってる以上に、俺はロクデナシなんだ。
そう言うと、真面目に葵はじゃあ、と言い返した。
「じゃあ、これが最後の曲」
「え?」
「航が作って歌う、最後の曲にしたらいいよ。これ終わったら、ギターも壊したらいい」
俺は、あっけにとられた。
そりゃあ、最後の曲になるわけだけど。
『最後』って言葉に、
どうしてこうも実感がわかないんだろう。

