『航?あんたちゃんと頑張ってるの?仕送り足りてる?まったくあんたは電話もよこさないで…』
カップラーメンのゴミ。
灰皿から溢れたタバコの吸殻。
足の踏み場もない部屋。
たたまずに散らかしてある洗濯物が、
床に、赤、青、黒…と色を散りばめている。
部屋のある一角は、多大な量のCDと埃をかぶった年季の入ったステレオ。
ステレオの上にも、雑誌やDVDが乗っている。
そして俺は実家からの留守電を無視して、正座していた。
目の前の、アコースティックギターと向き合って。
ああ、憧れのMartin。
先輩にねぎって売ってもらったけど、すげぇ高かったんだよな、これ。
でも。
今日でさようなら。
俺は、ギターを手に取り、思わずぎゅーっと抱きしめた。
ついでに、んーまっと二度ほどキス。
「ごめん…!」
ぎゅっと目をつぶり、ネックの部分を持って、思い切り上に振り上げた。
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