パンダ戦争

 僕は疑問を覚えながらも、その内のひとつを手に取り、レジのあるカウンターに置いた。

それにしてもこのパン、店で売られている食パンと見た目がまったく同じというのはどういうことだ?


「おっ、パンダパンだね。ナイスセレクト」


 レジに立っていたおじさん、通称ジャムさんが話しかけてきた。


「あの、これってなにがパンダなんですか?」


 僕はジャムさんに疑問をぶつけてみた。

すると彼は「ガッハッハ」と豪快に笑った。


「これはねえ、正確に言うとパンダパンじゃなくて、パン“だ”パンなのさ。つまり食べると『おお、パンだ』と思わず言ってしまうようなパンなのだよ」


「……ダジャレ?」


「ガッハッハ、そういうことさ。面白いだろう」


 なんだそりゃ。

くそー、理沙め。

パンダでもなんでもないダジャレパンなんかに500円も払わせやがって。

僕にだって、反論する権利はあるんだ。

今日こそは、理沙と戦ってやる。

さっそく理沙の家に乗り込んで、パンダ戦争だ!



おしまい