「こんなこと言ったら、怒られるんだろうけど…。」


イライラが最高潮に達しそうな私に尚輝がまた何か言い始める。


「智弥ちゃんと、少しでも一緒にいたかったから、サボっちゃったんだよね。」


「…。」


そんなしおらしい顔で、言われたら、キュンって…するわけないんだけどね。


「サボったのも、走ったのも、私のせいって言いたいわけ?」


本気でキレだした私に、戸惑った顔をしているこいつを見て、私は爆発した。


「そんなに私が嫌なんなら、もう話しかけないでくれる?」


それだけ言って、私は尚輝の前から走り出した。


「待って…!」


尚輝ごときが、足の速い私に追い付くわけがない。息を切らしながら走っている尚輝は、私にとったら本当にただのお友達の1人。

尚輝にとって私は、きっとお友達以上になり始めていると、鋭い私は気付いてしまった。

だから、私は尚輝を無視したり冷たい態度をとっていた。

照れていたんじゃない。好かれてる事実が嫌だったんでもない。ただ、素直に真っ直ぐな尚輝を傷付けるのが嫌だった。

お友達として、本当にいい奴だって知ってるし、傷付きやすい奴だってことも知ってる。

だから、なのに。

何であんな告白まがいな、私にわかるようにアタックしてくるのだろう。冷たくあしらった意味ないじゃんか。