水に燃え立つ螢

母が亡くなってから、半年が過ぎていた。

母の遺品を片付けていると、古い木箱が出てきた。
年数から言えば、もうかなり古い。


風がサワサワと音を立て、部屋のカーテンを揺らす。
まるで、母が其処にいるかのような温かい気持ちになる。


木箱の中には、古い手紙と通帳。
私宛の手紙が一通と、『流星へ』と書かれた手紙が入っていた。



『流星…??』


誰かさっぱり予想もできず、渡せる筈もないととりあえず木箱に戻した。





『最愛へ』


母からの、最初で最後の手紙。

そこには、『流星』との出逢いから別れまでが紙の余白がなくなる程に、びっしりと書かれていた。


どうして、未婚の母になったのか

どうして、私に父がいなかったのか

どうして、母は誰とも結婚しなかったのか…




母は幸せだと思っていた。

だが、これ程に愛した人がいたとは…


母は本当に幸せだったのか…




時々、ベランダから夜空を眺めていた母の背中を思い出す。




「星が導いてくれるわ」




母は死ぬまで

『流星』を愛していた。