水に燃え立つ螢

駅に着く頃、空が薄く目を開けていた。

夕べの雨が街に光のベールを与え、キラキラといている。


私の動揺を鎮めようと、繋いでくれていた手を

私は、ゆっくり離した。




「……俺」

「幸せに、なろうね」






流星は皺が寄るくらいに、深く固く目を閉じた。




「じゃあね」




『また明日ね』
と言ってた。
昨日までは…



この車を降りたら、
もう『約束』しない。

もう…

もう、明日なんてない。








ドアを開けて

一度俯いて

心に決めて言った。




「さよなら」




流星の顔も見ないで告げた言葉は、宙に浮いてる気がした。
そのまま振り返らずに、駅の階段を一気に登った。


階段の踊り場で足が動かなくなり、始発前の静かな駅で泣き崩れた。




お願いします神様…
私と、同じように苦しむ流星を


どうか、どうか1日も早く幸せにしてください。


どうか、流星が何の曇りもなく幸せだと笑えるように…


そして…
私が今を笑って振り返る、優しい日々が訪れるように…