水に燃え立つ螢

山を下りた私たちの、そこから先の道は、もう、何処にも繋がっていない。
深夜でトラックの多い道路。雨に濡れた道。

対向車のライトが濡れた路面を照らし、視界を鈍くさせた。





「停めて…」





最後の瞬間から逃れたくなった…
できるなら、今、此処で最後にしたい…


ちゃんと『サヨナラ』なんて




言えない…




だから…




「流星、停めて」

「え?」


不思議そうな顔で路肩に車を寄せ、静かにブレーキを踏んだ。

「どうしたんだよ」

「私は、此処で降りるわ」

「無茶言うな。降ろせるか!夜中にこんな場所で」

「私は大丈夫」

「もう、言うな…お前はそんなに強い女じゃねーよ」

「強くなったの…」

「あの駅までは…俺が送る」



「……貴方を…見送りたくないの…」



「俺が見送ってやるよ…」





溢れる涙。
我慢できずに、零れる声。


拭っても拭っても


止まらない。





流星への気持ちが


止まらない…



ゆっくりと進み出した車は、時間を稼ぐように力なく動いた。




あの駅に着いたら


終わりが来る。