水に燃え立つ螢

時任と関係を持った日から数週間後、時任は家族で地方に転勤した。


離れることに、何の感情も湧かず、転勤を知っても落ち込むことすらなかった。


転勤する2日前、時任と会った。



食事することもなく、会えば速攻ホテルだった。


時任とはいつものこと。

自分のペースで事を済ませ、汗で滲んだ身体を私から離し、煙草に火をつけた。




「向こうに行ったら、出張で来る時にしか会えなくなるね」


私は上の空で聞いていた。


「寂しい?」


時任は、煙草を吸いながら聞いた。



『ううん』

と答えそうになり、言葉を止めた。


「寂しい…かな」


愛って何だろ…。

寂しいと思えないのは、愛してなかったのか…。

面倒臭いからどっちでもいいや。



時任は煙草を消して、再び身体に重なってきた。

「こっちに来たら連絡するよ」


煙草臭いキスは、出会った頃の魅力を失い、快感も途切れ途切れになっていた。
たった数週間でこの有様。
私は誰も愛せないし、愛してももらえないだろう…一度目と同じ手順で、二度目のSEXは終わっていった。


SEX後、いつも私を包む喪失感は、幸せではないことを意味していた。

純粋に、身体だけの関係だ。


他には何の意味も持たない。



そして時任は転勤した。