水に燃え立つ螢

少し部屋を片付けてから、ホームセンターへ出掛けた。台所用品と花を買い、結構な荷物を両手にホームセンターを出た時だった。

前から流星のお姉さんが歩いてきた。

私に気付いたお姉さんは、躊躇いを見せずに声を掛けてきた。


「流星とは、本当に別れるの?」


挨拶なしの、いきなり本題だった。


「はい」

「凛ちゃんは、いいの?大丈夫なの?」

「私なら、大丈夫です」

「…強いのね」


首を左右に振り、笑ってみせた。

お姉さんはベビーカーの赤ちゃんを覗き込み、頬を撫でながら言った。




「凛ちゃん、あなたなんでしょう?時任の一度目の相手は」



逃れられるとは思っていなかった。

だが、お姉さんが知っているとも思っていなかった。



「知って…」

「そう、知っていたのよ」

「……申し訳…」

「流星は私が知っていること、知らないわ」

「……」


お姉さんは私の右腕を撫で

「責めてるわけじゃないのよ…」

と言って笑った。


「あなたは、とりあえず私に返してくれたじゃない」

「返すだなんて…」

「時任は、一度は帰ってきたわ。二度目は、私が無理だったの」