水に燃え立つ螢

それから二日後、流星は彼女と会ってくると言って、帰りが遅かった。



人を愛するということ、ようやく感覚で分かり始めたのに、繋いだ手を私から離さなければいけないなんて…

流星を待つ間、今まで感じたことのない感情が、私の心を支配していた。




『強くなりなさい』




母の最期の言葉が胸に響く度、私は『今』じゃない先をしっかり見据えることができた。





やはり彼女は妊娠していた。予定日まで二週間。

彼女は一人で育てると泣いたと言う。



その言葉に、流星は安心しているようだった。



「本当に、その気なら、電話なんて掛けてこないわ」

「あいつがそう言うんだ」

「でも、流星には責任があるじゃない」

「…知らないとは言わないよ」

「……やっぱり無理よ」

「俺は、お前しか駄目なんだよ」

「私なら…大丈夫よ」

「お前は俺しか無理だ」





「そうね…運命ってあるのなら、それは流星だと思っていたわ…私には、子供から貴方を奪えない…」