水に燃え立つ螢

「今日ね…電話があったの…」

「うん…誰から?」

「中嶋さん…って知ってる?」


流星の顔が変わる。


「中嶋から電話が?」

「…そう」

「何処に?」

「この家に…」

「…何でだ?」

「何故、此処の番号を知っていたのかは知らないわ」

「凛が大阪にいた頃の彼女だよ。だけど、ちゃんと別れたよ」



知ってる。
分かってる。

流星は裏切ってなんかない。


だけど…



「流星、お父さんになるよ」

「は?」


眉間に皺を寄せて、疑問に輪がかかったような顔をした。


「…お前が、妊娠したの?」


願いを込めるような口調だった。


「いいえ…私は妊娠してないわ」





長い、長い沈黙。





「う…嘘だろ…?…アイツ…?」

「私は姿を見ていないから、本当のところ、真実なのかは分からないわ」



愕然としている流星に、私は続けて言った。


「流星…貴方は此処にいちゃ駄目よ」

「凛ッッ!」

「私は一人でも大丈夫」

「無理だ!」

「父親は必要だわ」

「俺は…俺は、お前が必要なんだよ!」