水に燃え立つ螢

封筒の裏面には差出人の名はなく、切手も貼られていない。

ただ、母の名だけが書かれていた。



中の紙を指で摘まんで、ゆっくり引っ張りだした。




『もうすぐ凛の誕生日だから、これで何かプレゼントを買ってやって欲しい』

『元気ですか?凛は大きくなってるんだろうね。会いたいよ』

『僕が君にしたことは、決して許されることではないが、もしもいつか許してくれるなら、凛に会わせて欲しい』



どの封筒からも、私に会いたいという言葉が出てくる。

父は亡くなったと聞いていた。


だが、それは母の嘘だったのかもしれない。



「会いたいか?」


流星が聞いてきた。



『会いたい…?』


そんな感覚なんて、頭の隅にも、心の隅にも、全くなかった。


「ううん…会いたいなんて思わない」

「…それならいいんだ」



流星が部屋を出て、階段を降りた。


その間に通帳を手に取り、ペラペラとページを捲る。名義は私になっていた。


全て入金ばかりの通帳で、最後の日付は母が亡くなる半年前だった。



残金は、500万近くあった。




母の、気持ちの、隅々まで感じる。

私は、本当に親不幸者だ。