水に燃え立つ螢

母の喪中もあり、すぐに入籍とはいかない。

流星とは確かに、積み重ねを必要としない関係だが、母の喪中以外に思い留まるものがあった。




流星のお姉さんだ。




いくら時任と離婚したとはいえ、私は時任に裏切りをさせた相手だ。直接的な原因ではないにしろ、私は何度も関係を持った。


知らないから済む話ではない。


だから、母の喪中以外に時間が必要だと感じていた。





母の遺した物の整理に流星も加わり、家の中が大変なことになっていた日。

押入れの奥から、隠すように収まった小さな箱が出てきた。思わず流星と顔を見合わせ、見てはいけない気もする中、ゆっくり蓋を開けた。


中には茶色く変色した封筒が数枚と、まだ綺麗な通帳が入っていた。


母の過去や人生を覗き見するようで、少し躊躇い、少し胸が痛んだが、まず封筒を手に取った。