水に燃え立つ螢

時任は私と別れた後、会社の女と関係を持った。
相手の女が本気になったことで、不倫が光を浴びた。

奥さんとの絶え間ない口論。不倫相手からの攻撃。

遂に、離婚へと導かれた。



だが、離婚は私が大阪にいた頃に成立していたらしい。


「もう、兄貴を気にしないで済むだろ?」

「関係ないよ」

「俺と別れたのは、兄貴が原因なんだろ?」

「違うよ…」



違わない
違わない
違わない



時任の親戚になれなかった。

だから、流星と別れた。
だから、東京を出た。

だから
だから…




全部、自分のことしか考えていなかった。
流星がどれ程傍にいたか、私が誰より知っていた。

手を離したのは私で、ただ単に自分本位の行動でしかない。


『流星の為』

ただの言い訳だった。



「凛、お前を幸せにできるのは俺だけだ」

「……」

「俺しか無理だっつったろう?」



流星の右手が、左頬を掠める。


「何回言わせんだよ」

「…流星」

「もう喋んな」



決意の瞬間、流星は何度も愛してると囁いた。