水に燃え立つ螢

母が亡くなって、最初の元旦を実家で一人で過ごした。
母のスナックは、母が他界して以来開けていないし、開けるつもりもない。

繋ぎの為の長時間の特番を見るわけでもなく、音が欲しいが為に電源だけは入れている。


長く、此処に一人で過ごした母を、部屋の中で見る。


何故、娘として、できる限り傍にいなかったのだろう…





失ってから大切に思うことなど、



…容易い。





ある日、流星が言った。

「一緒に暮らさねーか?」


そう提案されること、何処かで分かっていた。

母の葬儀以降、必ず家に寄り、私の顔を見てから帰る。


一度だけ流星に抱かれたが、それは所有を誇示するものではなかった。

謂わば、事故に近い。


事の終わりに流星が謝ったことで、このSEXに意味がないと知った。



「一緒に住む意味あんの?」

「俺にはある」

「私にはないよ」



「凛…俺ら、マジで結婚しねぇか?」

「は?」

「姉貴、離婚したんだ」