水に燃え立つ螢

三日後大阪に戻り、アパートから全ての荷物を実家に送った。勤務していたバイト先にも事情を話し、全て辞めた。

陽一が

「また会えるか?」

と聞いてきたが、

「もう此処には戻らない」

と告げ、私は東京へ戻った。





母は段々と力を失くし始め、自分の病名に疑問を抱きだした。



「癌…なんでしょう…?」





「何言ってんだよ!胃潰瘍だって言ってるじゃん!」

「胃潰瘍じゃ…ないわ…」

「何でもいーから、早く元気になってよ!毎日大変なんだからね」




母はきっと、もう分かっている。

私が芝居していることも、命がもう終わることも…



「凛…」

「ん?」

「私は…貴女の母親よね…?」

「そーだよ」

「貴女が…嘘…つく時…分かるのよ…」

「嘘なんか言ってないよ」

「凛…貴女はね…私の…大事な…娘なの…」




駄目だ。


涙が…



「凛…貴女を愛してるわ」

「私も愛してるよ」

「強く…なりなさい…」




母の最期の言葉になる。



数日後、母は危篤状態になった。