水に燃え立つ螢

ビデオ屋で、陽一と一緒に入った日のことだった。レジで客が途絶えた時、陽一が言った。


「今日、俺ん家来てや」


そんな風に誘われたことなど一度もなかったから、素直に驚いて思わず

「うん」

と答えていた。



バイト後、陽一の部屋に行く。


「あれ?模様替えしたの?」


部屋の感じが変わっていた。


「俺、気分屋やからな。結構模様替えすんねん」


笑いながら荷物を降ろし、服を着替えていた。私はガラステーブルの脇に腰を降ろし、鞄から煙草を取り出した。

すると携帯が光っていて、着信かメールか確認した。

そこには、見知らぬ番号が記載されていた。


『誰だろ…』


知らない番号には、掛け直さない。だから気にもせず放っておいた。
今はそんなことより、何故此処に誘われたのかが思考回路を独占していた。


陽一は私の隣に座り、忙しくチャンネルを回した。私は、それがとても嫌いで段々苛々してくる。


「何か話があるの?」


陽一は返事をしなかった。