水に燃え立つ螢

汗だけを軽く流し、陽一の質問から逃げるようにお風呂場を出た。
暫くして上がってきた陽一は冷蔵庫から缶ビールを取り出し、呑みながらテーブル脇に座る。

私はベットに腰を掛け、同じようにビールを呑んでいた。


「俺なぁ、一応好きなんやけど」


テレビから視線を逸らさずに、陽一は言った。

何て言えばいいのか…好きだなんて意識したことはなかった。
ビールを呑む手が止まる。


「凛は?」


軽く笑顔で私を見る。


「…分かんない」



本当の気持ちだった。
好きなんて、流星以外持ったことない気持ちだ。


だが陽一には関係なく、また軽い私にも問題がある。



「ま、えぇよ」


陽一はテレビに視線を戻した。




虚しい。


だけど、一人ではいられない。



私はこれから先、流星以外に誰かを好きになるのだろうか。

流星以外に…


近頃、また流星を頻繁に思い出していた。


陽一に抱かれていても、心はあの夜景の夜に戻る。