水に燃え立つ螢

「泣いてたよ…お母さん」

「……」

「たまに連絡しろよ親だろ?」



流星に言われてるから腹が立たなかったのか、図星だから腹が立たなかったのか…。

良く分からないが、素直に心に入った言葉だった。



そして何故、決意したのか自分でも分からない。


「母さんの傍で暮らすよ」

巻き寿司を食べた手をティッシュで拭きながら言った。


「バイト全部辞めてくる」



真っ直ぐ流星を見て言った。

流星は微笑んでいた。

「そか」



流星に巻き寿司を託した母親。

泣いていたという母親。



何故逃げたのか、今はもう分からない。


ただ、傍で暮らしたくなった。



あの街に帰ること…これ程までに抵抗を無くしたのは、紛れもなく流星だった。



「ありがとう」



心から笑って言った。


ちゃんと言ったのは、初めてで照れた。



「お前、良い女だよ」

「当たり前じゃん!!」


タッパーに残った巻き寿司を、流星と食べきった。