水に燃え立つ螢

流星には相変わらず携帯を教えていない。


だが、私は知っている。

なのに私は連絡しない。



一度も流星の番号を押したことはなく、押したくなったこともない。





ある日、流星がお寿司を持って来た。


あまり決まった時間に食事をしない私は、この日も数時間前にパンを食べたばかり。


「今は食べれないよ」

「また腹いっぱいなのかよ」

「バイトで休憩遅かったんだよ!!」

「これは食えよ」

「何で?」



いつもは強要しない流星が、今日は何故か強い口ぶりで言った。


不信…?
いや、不思議だった。



「いいから食え!!」



タッパーに手を伸ばし、巻き寿司を口にした。



「…ん?」


何だか知ってる味だ。


「うまいだろ?」

「……」


母親の味だ。


「分かる?」

「何で流星が持ってくんの?」

「会ったんだよ」

「店に行ったの?」

「いや…このマンションの前で会ったんだ」

「来てたの!?」

「あぁ」