水に燃え立つ螢

階段での出会い。

私は深く考える事なく、ただ気味が悪く、既に到着している電車、そして時間を気にしていた。


だから、流星の言葉を良く聞き取れなかった。



確か…

「彼氏いんの?」

だったような…


とにかく、背後から声をかけられたことと、軽い口調に気分を害され、足早にその場を離れた。



『私が相手にすると思ってんの?』



電車に乗り込み、呼吸を整えながら定位置の扉の側の手すりに凭れた。

駅員の笛の音が響き、扉が閉まる。
電車が動き出し、ふと顔を上げると、流星が扉の前で軽く手を上げていた。


『馬鹿かアンタ』




翌日、ユカと共に校門を出ると、そこには昨日出会った流星がいた。


『何こいつ』


目が合って、流星は微笑んだが、無視を決め込み素通りしたその時、


「凛さん!」


また流星が呼び止める。


「何なの?からかってるの?」


何だか苛々した。



「誰?」

ユカの言葉に説明できない状況。


『私だって知らないよ』



苛々が態度に出てた。

ユカに当たるなんて最低だ。




「昨日は、ツレがいて」

「だから?」

「俺、毎日見てたんだ」


『だから何だっての』


「付き合ってくんねぇ?」

「何かさ、軽いんだよ口調が…気持ちあんの?第一、何処の誰かも知らないんだけど」

軽い。軽すぎて、真意が伝わってこない。いや、真意が伝わったとしてもだ。こんな簡単に付き合うとか、馬鹿にされてるとしか思えない。

頭の中の自分は、更に音を立て、頭蓋骨に当たるばかり。
できれば、私を放っておいてもらいたいし、笑いかけられるのも鬱陶しい。

男、女。これだけで、特定の相手を選ぶ基準も分からないし、そもそも、彼氏を欲していない私には、学校に通う以上に不必要なものなのだ。