水に燃え立つ螢

春の匂いがする。


桜の開花予想がニュースになり、視覚でも春を感じる。



時任からは何の連絡もないまま、恐らくはあの街に戻っているだろう。



私は益々不眠が悪化し、バイトの量を減らしてみても、改善の兆しは見えずにいた。


睡眠改善薬とやらを飲んでみても、眠りに就くことはない。




身体が他人みたいで、気持ち悪い。


例え睡魔が襲ってきても、何故か寝れない状況の時で、睡魔と戦うのも、寝れなくて苛々するのも、もう疲れていた。





バイト仲間の遙の勧めで、睡眠薬をもらう為、病院に行った。


白衣の女医に幾つか質問され、睡眠薬は初めてだったから、軽いものでと処方箋をもらった。



病院の近くにある薬局で、処方箋の代わりに睡眠薬を受け取り、薬の説明を聞いて薬局を後にした。



柔らかい日差しなのに、とても痛くて目が眩む。



マンションへの最後の角を曲がった時、マンションの前で誰かが見えた。





『流星…?』



ぼやける視界の中に、流星が立っていた。