水に燃え立つ螢

週末、時任は来なかった。


初めて別れを実感した。



一人の夜の方が多かった。

だけど、
『来ない』夜は、寂しいと感じた。



『愛じゃなかった』

のに…。



なのに、この吹き抜け感や、置き去り感は何なんだろう。




とにかく、時任とは終わった。


意外にも、時任が理解してくれた。


厄介だと思っていた問題は、それほど厄介ではなかった。





時任と別れてから、休みを取ることもなく、毎日バイトに明け暮れた。

一人だと痛感する時間を、持たない為に。



なのに、夜になると一人を噛み締める。


寝ていても、眠れなくても、同じ時間を過ごす。


必ず朝はやって来て、時間が私を追い詰める。




私は…


私は誰の為に、
何の為に、
生きてきたんだろう。



何も残っていない。



何も、残せていない。




『不倫』

終わらせただけで、


ここまで落ちるとは、


思ってなかった。



『愛人』

やめただけで、


ここまで無になるとは、


思ってなかった。