水に燃え立つ螢

ホットコーヒーを2本手に、車に戻った流星は、すぐに車を出した。


「家、何処だよ」

「適当に降ろして…」

「危ないから送るよ」

「大丈夫だよ…」



時任との密会場所を知られるのが、とても嫌だった。

流星とも、これが最後だと思っていた。


だが、流星は違っていた。



窓を流れる風景が、だんだん、見慣れた景色へと変わっていく。


流星は、あの懐かしい駅で車を停めた。



「始発まで乗ってろよ」


確かに、まだ少し時間がある。



『寝ないでバイトだな』



大して眠くもなかったし、徹夜でバイトも珍しくなかった。


「凛、これ俺の」


流星は、小さな紙を差し出した。



携帯の番号と、アドレスが書いてある。


『連絡なんて…』


「気が向いたら、連絡してこいよ」



私は返事もしないで、無造作にポケットに入れた。




始発の時間が近付き

「じゃあ」

と言って、ドアに手をかけた。


「凛!!自分を大切にしろよ!!」


笑って、

振り向いて、

そして
車を降りた。