水に燃え立つ螢

流星の助手席に座っていた。


記憶が…


飛ぶ。




奥さんが、こんな近くにいたなんて…。




辺りは既に暗くなり、対向車のヘッドライトが見える。


ユラユラ…

ユラユラ……


これは…私が揺れているの…?




「…凛」



流星は、行く宛なく走っているようだった。


いや、行く宛はあるのかもしれない。
みんな、それぞれ、行く宛はあるのかもしれない。

分からないのは私で、私自身で…
消せない過去と、今までの罪と、それ等全てを私の記憶内に留めて、このまま消えてしたいたかった…

どうか、これ以上、痛みが広がりませんように…。
私にも、時任にも、奥さんにも、そして、流星にも…。

みんな、私以外は繋がっていた…。
この構図、いかに予測できただろう…。


「ご…ごめんなさい…」


涙しか出ない。

謝っても謝りきれない。

だけど、謝ることしかできない…。



「逃げ場なんていらない…だから私を殺して…」

「馬鹿言うな」

「……自分が、怖い」

「俺がいる」



「もう…何も…いらない…」



そのまま膝を抱えて、声を殺して泣いた。



タイヤの音が変わり、暫くしてから車は停まった。


「いつまでも、泣いたフリしてんなよ」

「…アンタ嫌い」

「何でもいーよ」

「死ね!馬鹿!」

「相変わらずだなお前」


流星は笑った。