水に燃え立つ螢

時任の月に一度の出張は、月に二度に増えていた。

あと、数年でこっちに帰って来るらしい。


完全な愛人状態。



時任は、お金を渡さなくなった。

「凛ちゃんを買ってるみたいだ」

と言って。
都合の良い女に、成り下がっただけの私。元々、時任に対しては、喜怒哀楽を見せるタイプではなかったが、それにまだ輪がかかっていた。

私のマンションで泊まるようになった時任は、私の目の前で奥さんに電話を掛ける。

「ちゃんと戸締りするんだよ」

そんな時任の言葉すら、何も感じない。
そう…嫉妬しない私は、やはり時任を愛していなかった。



私の部屋に泊まりに来た時任は、持参したビールを飲み、持参した食物を食べ、いつものように私を二度抱いた。

当たり前の様に、自分の別荘かの様に、私に気を遣うことすらなく、全てが時任のペース。

正直、時任の愛撫も、身体も、もう全てに飽きていた。



声は出ない。


白い波も来ない。



だけど、時任は満足して眠りに就く。



月明かりの部屋。


穏やかな寝息の時任を、殺したくなる。


私は、ただの穴だ。



助けてとは思わなくなった。


助かるとも思っていない。



月明かりは、私を闇に導く。



時任の為に存在するようで、無性に突き破りたくなった。




本当は、流星に会いたかった。


しかし、その気持ちも、私が動くほど強いものでもなく、時々こみ上げては消えていくものだった。