水に燃え立つ螢

季節は移ろい、流れ、時は確実に刻まれた。


高校を卒業した私は、定職には就かずフリーターになっていた。



母は幼い頃から私を一人で育て、小さいながらも、細々とスナックを経営していた。

母を軽蔑はしていなかったが、母との生活に良い思い出はなかった。
いつの頃からか、母は私より早く起きなくなり、いつの頃からか、一緒に食事もしなくなった。

家からスナックまでは、自転車で10分程だが、バイトを終えて帰ると、母はいつもいなかった。

私がフリーターになると決めた時、母はスナックを手伝わないか?と、悪気なく聞いてきた。


「女を売るなんて真っ平だ」


育ててもらった母に、何とも愛のない言葉を付きつけたのだろう…。

居場所を失くした私は、隣町で一人暮らしを始めた。



ユカとも会っていない。



時任とは、相変わらずだ。

変わったことは、私の部屋に泊まること。


抜け出たい沼は、あまりにも深かった。


もがくのも疲れ、流れに任せた。



私と関係を持ってから、時任には二人の子供が産まれていた。

だけど、どうでも良かった。



流星。



部屋を飛び出した日以来、会っていない。



近頃は思い出す日も少なくなった。


他力本願で沼から抜けるなんて、最低のやり口だと流星を避けた。



時任と出逢う前なら…と、何度か考えたこともあったが、考えても仕方のないことだと、すぐに脳内から消し去ってきた。


流星は流星で、幸せでいるなら、それでいいのだ。