水に燃え立つ螢

流星の部屋を飛び出し、時任の待つ部屋へ向かい、時任に抱かれた。


『もうやめろ!』


流星が放った言葉。



何か知っていても、何も知らなくても、流星は関係ない。



だが、誰かが助けてくれるとしたら、それは流星だろう…。
そんな甘ったれた考えが浮かぶ。

その手を取るか取らないか。





取れないんだ。







時任は

『愛してる』

と言った。


愛なんて、分からない。


SEXしたい気持ちが、『愛してる』なら、私は時任を愛してるだろう。


妻子持ちの連絡できない男。

それでもいいと思っていた。


『彼氏』
じゃないなら楽だとも…。




歯車が、何処で、噛み合わなくなったのか、明らかに時任と関係を持ってからだ。



もう戻れない。



綺麗な身体にも。
綺麗だった心にも…。


無知な子供だったと、言い訳にもならないが、そういう言葉の枠に填まりたくなる。



踏み出した足を引き戻す勇気。

間違いは間違いだと、自分で認める強さ。



他人を傷つける。

それを恐怖だと思える思考。



それら何ひとつ持たない私は、子供じゃないなら、単なる馬鹿だ。


馬鹿は馬鹿なりに、その道で生きるしかない。
今更、何処へ戻り…いや、やり直せる筈もない。


今更、何をどう変えても、一寸先にも希望などない。