水に燃え立つ螢

流星の腕を押し、扉の開閉を自由にした。流星は、それ以上、力で止めるのを躊躇っているように見える。


ドアノブに手をかけた。


「凛…」


何故だか胸が痛んだ。

彼氏でもない流星の行動に、胸が痛んだ。


「誰と会うんだ?」



この言葉で、苛々してきた。

流星には無関係だ。


「放っといて!」

「もうやめろって」

「アンタに何が分かるの!」

「分からねぇよ!けど、やめろ!」



流星を突き飛ばして、一気に階段を駆け降りた。


駅から時任の元へ向かった。

流星は追って来なかった。



時任は、今日も入り口付近で、立ったまま突いた。


「感じる…?」



『感じない』



時任は、果てる前にベッドに移動した。

「何か気になる事でもあるの?」

私の身体を舐めながら聞いてきた。


感じたいのに、感じないことに苛ついた。


「余計な話はやめて」


時任は、いきなり突き刺してきた。



『駄目だ…感じない…』



原因は流星だ。

流星が頭から離れない。


腕を払った自分の愚かさ。


あの時の流星の傷ついた顔が、頭から離れない。
人道を外れている私に、流星を傷つけていい筈もなく、そして、後悔する権利もない…。

自分で此処に来た。
今、身体を舐めている時任さえ、責める権利などない。

愛してもないのに、キスをし、舌を絡ませ、身体を預ける。

SEXのスイッチが入ると、衝動に勝てなくなり、訪れるであろう快感を待つ。
その一瞬に、私は何を見出してきたのか。

いや…何も…この心には、何も…ない。