水に燃え立つ螢

翌日、寝不足のまま授業を受けた。


ユカと別れて、いつもの階段の最上段には、やっぱり流星がいた。


「ちゃんと行ったのかよ」

「行かない理由はないから」

「俺、無理」

「だろうね」



いつもの電車は到着していた。

「乗らねぇの?」

「何か話あるんでしょ?」


流星が私服だったから、わざわざ駅に来たことは分かっていた。


「バレてるし」


流星は膝を抱えて笑った。



「此処、うるせーんだよ」

流星は立ち上がって、首を斜めに振った。



駅を出て流星の後を歩くと、暫くして一軒の家に着いた。


「誰の家?」

「俺ん家」

「嫌だよ」

「誰もいねーよ!」

「余計嫌だ」

「何もしねぇよ。馬鹿じゃんお前」


ムッとした私を、流星は笑いながら引っ張った。



「お邪魔しまぁ…す」

「だから、誰もいねーっての」


二階に流星の部屋があった。

「適当に座れよ」


適当に座り、片付け下手な部屋を見回した。
いつから其処にあるんだろうと思われるペットボトル。
無造作に積み上げられた雑誌や、週刊漫画の山。恐らく、下の雑誌や漫画は、二度開いていない筈だ。
そんな、綺麗とは言えない部屋を、恥ずかしい素振りも見せずに、スペースを確保する為に足で部屋の隅に追いやっている。

ベッドに目をやると、これまた朝起きたままの状態で、其処で眠る流星を想像していた。

男なんだ流星は。

探せば出てくる筈。
AVや、やらしい雑誌が。

流星は男。

今更ながら、この認識が心地良く浸透していった。