水に燃え立つ螢


最愛が高校生になって、バイトを始めた。

給料日には生活費と言って、お金を入れてくれる。


私はそのお金を、最愛に遺す貯金に回した。

いつか私は、最愛よりも先に逝く。
最愛が誰かと結婚するまでは、何があっても死ねない。


死ねないが、何があるかは分からない。

寿命は誰の上にも公平にある。
長いか短いか、それを知る必要はない。


だが、大切な者の為に『いつか』まで、果たすべきことがある。

だから、せめてお金は遺しておかなければ、最愛は路頭に迷う。

それだけは避けたくて、生活が苦しくても毎月少しずつ貯金をした。

親としての責任は、身を削ってでも果たす。



最愛18歳の夏。

夏バテだと思っていた自分の身体が、癌に蝕まれていると知った。


余命は半年。


母と同じ胃癌になるとは…

最愛を、こんなに早く一人にするとは…



事実を知った最愛は、泣きじゃくり、担当医に頭を下げていた。

「お願いします…!!母を助けてください!!」





最愛…


ごめんね…