水に燃え立つ螢

まだ実感のない命の息吹きと共に、生きる為の生活が続く。

『はじめての妊娠』という本を、喜びだけで見ることはなかったが、あらゆる不安の中で膨らむ希望も存在していた。


どんな時も、今ほど最低な時はないと這い上がってきたが、今を最低だとは思ってもなく、不幸せだとも思っていない。

仕事から戻ると、食事を作り口に運ぶ。


私の為ではなく、お腹の子の為だけに。
一人なら、確実に食べていなかっただろうと、ふいに可笑しくなる。

寂しさが込み上げてくると、ベランダに出て通行人を眺める。


『誰か』を目にすると、案外落ち着いて星を見上げると、もひとつ落ち着く。


流星…私ね…

会いたくなると今でも涙が出るの。


夜景の山へと引いてくれた手が、今も忘れられないの…


『愛してる…』



何度も見上げて、何度も言った。


星は瞬いて、髪を撫でてる気がした。