水に燃え立つ螢

お前が癌で死んだと聞いて、今まで何で連絡しなかったのか腹が立ったよ。

最愛が腹にいても、産まれそうになっても、お前は美里のように連絡してこなかった。俺が知ったら離婚すると思ったんだろう…?

最愛が産まれる頃、俺ら夫婦は破綻の一歩手前だったんだ。


どうして

何故…


もう二度と、この腕に抱けないと分かってから、お前に会いたくてたまらない。


年甲斐もなく、最愛の前で泣いたよ。そして俺は思った。



最愛を遺してくれて…ありがとう。



「母さんに会って」

と最愛が言うから、何十年かぶりにお前を見たよ。


あんまり変わってなくて、俺は安心した。




遺影のお前は、俺が知ってる『凛』だったよ。




待っててくれよ…

俺が、俺の人生を全うしたら

お前に会いに行くよ。



「うるせー馬鹿!!」


って、また痴話喧嘩しようぜ。