水に燃え立つ螢

親父の知り合いに居酒屋を経営している人がいて、俺が何の仕事もしていないなら手伝ってほしいという話が出た。確かに、俺の再就職は難しいだろうし、多少面倒な思いもあり居酒屋で働くことになる。

居酒屋のオヤジは持ってる知識を全て俺に託し、俺が働きだして五年後、他界した。遺言書には、俺に店をやると書かれてあり、家族のいなかったオヤジの跡を継いだ。


喪中明けを待って、屋号を『凛』と変えた。



すれ違えないんなら、掲げてやる。

偶然でも何でもいい。


俺が此処にいると、示していたかった。




凛…お前が誰かと結婚していてもいい。

とにかく、此処を通ってくれ…



お前が幸せなら、俺は、それを知れたら…



それだけで、充分なんだ。





まだ思い出にできず、まだお前を探してる。

あの日、手を離した俺を


「馬鹿じゃねーの」


って、貶してくれよ…