水に燃え立つ螢

ある日突然、何もかもが嫌になり、仕事を辞めた。


「堕落するばかりね」


姉ちゃんに会う度、言われた。

堕落か…堕ちるだけなら簡単なんだな。しかも、楽だ。



酒を飲んでるときだけ凛を忘れたし、凛を感じたりもした。それは甘い薬で、いつも現実から逃げてばかりいた。



凛…お前はどうしてる…?

会いたくねぇか…?





俺はめちゃくちゃ会いてぇよ…




何度も凛の番号を表示させては、最後の一押しで指が止まる。

俺は、いつまで、これを繰り返すんだろう…


凛の足音は消えてくばかりで、あの日の別れを幾度も後悔した。




ある日、美里から連絡が来た。

「茜を1日、見ていてほしい」


実際に預かってみて、俺の知っている茜とは全く違っていた。


「パパ」


こんな俺を、迷いなく呼ぶ。

無邪気な笑顔。


俺が凛と別れた『理由』




それなのに、俺は途中で放棄し母子家庭にした。


「何やってんだ俺…」


情けなくて、茜を抱き締めて泣いた。



いつか凛に再会する日の為にも、パパと呼ぶ茜の為にも、ちゃんと生きなきゃな…




たったひとつもやり遂げられず、誰も幸せにはできない。

そう、俺も幸せにはなれない。