水に燃え立つ螢

離婚届を出した時、何とも言えない開放感があった。本当は、すぐにでも凛に会いたかったが、俺の都合で別れたというのに、離婚したからと言ってノコノコと連絡できるわけがない。いくら何でも、自分で許せることではなかった。

凛はこの街にいる。

それは分かっている。


会いに行かなくても、運命なら会える筈だと何故か信じた。


俺と凛。


絶対、運命が引き合わせると、俺は信じていた。




俺は一人の時間を持て余し、次第に夜の街を飲み歩くようになる。スナックやラウンジを日替わりで行く内に、あるスナックで凛に似た女に出会った。

足繁く通う内に、女と親密になり、いつの間にか付き合っていた。


似ていたのは顔だけ。


初めて女を抱いた時、思い知らされた。



「凛じゃねぇ…」



顔は似ていても、声も身体も、凛とは全然違った。


凛の面影を探し、凛の声を求め、凛に会いたくてたまらなかった。




結局、俺は夜の街に溺れた。