水に燃え立つ螢

とにかく、俺は精一杯のことをした。
それを、美里が満足するかは考えられずに。

娘の名前は結局美里が決め、『茜』という名前がついた。


美里は何かを心配し、退院後は実家に帰らず俺との新居に戻って来た。


毎日仕事に行き、毎日家に帰る。帰ったら茜を風呂に入れ、飯を食って寝る。

俺は入籍以来、美里を抱けなくなっていた。夫婦と呼べるものではなかっただろう…





「愛なら、此処にある」


凛の言葉。

涙。

声。


俺の愛は、あの日の凛に置いてきた。





きっと、最初から無理だったんだ。

それは、決意した時から分かっていた。



凛以外、誰も愛せないことは揺るぎないものだと…




だが、腹の子供には責任を果たすべきだ。この腕に抱けば、俺も変わるだろうと…






日が経てば経つ程に

隠せば隠す程に

凛への想いが募り続けた。



美里の我慢にも限界が来て、結婚生活は1年で終わった。



最後は罵りに、貶しにと酷いもんだった。



「じゃあ何で、アイツに電話なんかしたんだ!」



美里は寂しそうに泣いた。

そして


「別れて…」

と言って出て行った。